『た、旅・・・?』


私たちと同じ年で旅に出る子は少なくない。


でも、アンリが旅だなんて、考えたことがなかった。


私は唖然とアンリを見つめ返した。


「そう、旅。
レーヌガーデンにいたら、何も変わらない気がするんだ。
先生は、世界は広いって言っていた。
だから見てみたい。

そして絵におさめたい。



だから、明日にでも行くつもり」




・・・明日?

いくらなんでも、急すぎじゃない?


いきなりの展開に頭が追いつかない。


『いつ、決めたの・・・?』


「・・・結構前から」


『どうして教えてくれなかったの?』


「迷ってた・・・」


視線を外してアンリは顔を背けた。


『言わないで行くつもりだったの!?』


私はバンッと机を叩き、目に涙を滲ませながらアンリを睨みつけた。