今日は朝から雨だった。


学校は休みだけど、ざーざーと降り注ぐ雨の音が耳障りで、気分を沈ませたまま朝食を食べる。



パンの上に目玉焼きをのせてぱくり。


『・・・』


窓の外の灰色の世界を見つめながらの独りの朝食は、美味しくなかった。








水色のレインコートに身を包んでていつもの泉に向かう。


私たちがで出会って始めて雨が降ったから、多分来てないと思っていた。


期待はしないでそこに行くと、アンリが木の下でスケッチブックを抱えながら待っているのが見えた。


アンリは近づく私に気がついたようで、はっと顔を上げる。


『おはようアンリ。何もこんな雨の暇で来なくてもよかったのに』


私が苦笑しながら言うと、アンリは真剣な表情で口をつぐんだ。


『?』


不思議に思っていると、アンリが私の手を握って歩き出した。


『・・・アンリ?』


「話が、あるんだ・・・。ここは寒いから僕のアトリエで、話そう」


アンリは前を歩いていたから表情は解らなかったけど、なんだか寂しそうな声だった。