楽しいと感じる時間は早く過ぎる。
いつのまにかあたりは暗くなって、満天の星空が広がっていた。
数分前に完成したスイレンの絵は凄く綺麗だった。
オレンジ色の太陽に、それが反射して光るスイレンの身体。
まるで写真のように描かれた絵だった。
スイレンはアンリをこれでもかというほど褒めてから、
<お暇しますわ。素敵な絵画をありがとうございます、アンリ。それとユイ、わたくしは水のある場所でしか召還できませんので、覚えておいてくださいませ>
と言い残し、水に溶けて消えていってしまった。
私も凄いと褒めればアンリは照れて「あげる、」と小さな声だけど透き通る声で言った。
『ほんとに?ありがとう!大切にするね』
「・・・どういたしまして」
丸めた絵をショルダーバッグに折れないよう、そっと入れる。
それを肩にかけて立ち上がり、服についた葉っぱを払う。
『もうそろそろ帰らないとね』
「うん。こんなに暗くなっちゃったしね」
『ね。今日は楽しかったよ。じゃあまた明日!』
「またね」
さよならの言葉を交わして反対方向へと歩く。
星や月の光が帰り道を照らして見やすい。
・・・スイレンの絵、どこに飾ろうかなぁ。