<わたくしは水竜、水の守り神。これよりわたくしは使い魔となり、小さな主に仕えましょう>


竜はそっと顔を近づけて鼻の頭にキスを落とした。


<わたくしの名は?>


『貴女の名前はーー』







ーースイレン



<・・・スイレン。素敵ですわ、気に入りました>


『ほ、ほんと?』


<えぇ、ありがとうございます、ユイ>


水竜ーースイレンは微笑んで喜んでくれた。


やっぱり、相手が喜ぶ姿を見ると心が暖まる。


私は視線をずらしてはにかんだ。






「”スイレン”って・・・どこか東の国で水の上に咲く花、だよね」


『そうだよ。東の方から来てる先生に教わったんだ』


体力作りの授業、つまり基本を教えてる先生は東の・・・シンの国からやってきた人で、よくシンの言葉や面白いものを教えてくれた。


魔法より体術が得意らしく、先生が魔法を使っている所は誰も見たことがない。


<そうだったんですの・・・。ふふ、東の国の名前なんて珍しいですわね。でも、水の上に咲く花ならわたくしにぴったりですわ>


シュイは周りに花でも振り撒くようににっこりと笑った。