<ふふふ、そう。では、契約をいたしましょう>


『契約?』


聞き慣れない言葉に首を傾げる。


<契約とは、二人以上の当事者の意思表示の合致によって成立する法律行為のことですわ>


『??』


なんだかよけいに解らなくなってきた。


難しい言葉を使いすぎている気がする。


頭の良くない私には半分くらいしか理解できない。


「つまり、契約を結ぶ両方が同意していればいいんだよ」


見かねたアンリが苦笑いしながら教えてくれた。


『あぁ!解ったよ、ありがとうね、アンリ』


「・・・気にしないで」


アンリは照れくさそうにそっぽを向いた。


ありがとう、に慣れていないらしい。