「つまり、ユイは使い魔を召還する魔法をしてしまった、と」


<えぇ>


『・・・ずいぶんと落ち着いてるね。言っておくけど、私に主なんて勤まらないよ?』


水竜と人間二人が泉の近くに集まって話しているというなんともおかしな光景だけど、二人はまるで気にしていないようだった。


<何をおっしゃるの?そんなに難しくはありませんことよ>


『そういうことじゃなくて・・・私は未熟者だから』


「ユイ」


暗い表情になりかけていたら、アンリがそっと呼びかけてきた。


「経験は大切だよ。先生が言ってた」


『え?』


いきなり何?と思っていたら、”先生”が言っていたという言葉を次から次へと並べていく。


「あっ、あと、変化を楽しめとも言ってたよ」


無表情だけど私を勇気づけようとしてくれているようだった。




だけどーーアンリの言う通り、たまには・・・変化を楽しむのはいいかもしれない。






『・・・。・・・うん、解った。やってみるね』


「!・・・うんっ」


<話はつきまして?>


律儀に話が終わるのを待っていた竜が私に聞く。





『うん。私、やるよ、あなたの主』