キス逃げ【短編】


私の言葉を聞いた衛は、すごく嬉しそうな顔をして


「本当?!」


って言ったんだ。


「うん」


やっと……やっと素直になれた。


そんな私を抱きしめる衛。

恥ずかしくて、つい突き放す私に

「素直になれよ」

そう言うと、もう一度抱きしめなおした。


バカッ…


でも、嬉しい。

私は衛の胸の中で、涙を零していた。


「紗柚」


そう呼ばれて上を向いた私に



―――チュッ


一瞬で良く分からなかったけど、今キスしたよね?!


目を見開いたまま固まる私に

「今のは昨日の消毒」

そう言うと、もう一度顔が近づいてきた。