キス逃げ【短編】


「じゃあ、もし紗柚が俺の彼女だったら……キス逃げを止めてくれるの?」



まもる?



―――ビクッ


不意に頬を触られ、私の体は固まってしまった。

衛は、私の顔を自分の方に向けなおした。




「紗柚…俺、紗柚の事が好きなんだって気が付いた。俺と付き合って」




ゆっくりと視線を上げた。


そこには、優しい顔の衛が私を見ていたんだ。

いつもは後ろをくっついてくるくせに、こんな時は強引な衛。



全部好き。



少し照れながら頷くと


「私も…好き」


って応えた。