え。
目を見開いて驚く私を他所に、彼は私の腕を引っ張る。
「アンタ何処行きたい?」
「え、」
「そういえば白井達から近い場所行きたいんだっけ」
「は」
「じゃあ最初は、」
「いやちょっと待って」
「……何」
あぶない。流されるところだった。
ホッと息を吐く私に対して彼は不機嫌そうだ。
「何で私と千早くんが一緒に回るの」
「アンタ一人だろ」
「そうだけど、私別に一人で回るし……」
「……それじゃあ、俺が困る」
……え。
何が?
はぁ、と溜息を吐く彼。
……もしかして。
そう思いチラリと周りを見てみる。
「ねぇねぇ、あの人やばくない!?」
「うわ、ちょーイケメン!!」
「声かけてみる!?」
「えーでも女連れてるじゃん」
「彼女?」
「じゃない?相手にしてくれなさそう」
「えーじゃあやめるか。あーあ、あんなイケメンめったにいないのに」
「ねー、残念」
……あぁなるほど。
「女避け?」
「……まぁ」
「……」
まさかとは思ったけど……。
苦笑いをしながら彼を見てみれば、その顔は歪んでいる。
……仕方ないか。
「分かった、一緒に回るよ」
「……ん」
彼の言った言葉はたった一言だけど。
その顔は少し嬉しそうだった。
