天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

沖田さんの部屋に着くと。


「あ…天鬼君。どうにかしてくれませんか?」


「何、どうした…」


その状況を理解して、僕は目を見開いた。


だって、翼鬼が沖田さんの着物を掴んで離さなくて。


……泣いていたから。


「どうしたの。何があったの?」


「それが…いきなり気を失って、慌てて抱き止めたら…泣いてて」


翼鬼が泣くなんて、めったにない。


寝ているときとか、意識がはっきりしていないときにしか…泣かないし甘えない。


「気を失ったって…」


泣いているのを除けば、翼鬼は普通に寝ている。


「山崎君が監視しているのに気づいてから…」


…気づいたのか、監視に。


「たぶん、大丈夫だよ。疲れてたんじゃないかな」


監視に気づいたことプラス、疲れがたまっていたんだろう。


いろいろあったから。


「そうですか。よかったです、大事にいたらなくて。…でも、これどうにかなりませんか?」


そう言って沖田さんは…翼鬼の手を見た。


どうにかって…。


「無理だね。…翼鬼なりの、甘えなんだ。そのままにしておいてあげて」


「甘えですか。なら、いいです」


どこか嬉しそうに、微笑んだ。