天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

ようやく、森を出た。


「え?ここ…ビルがないよ?」


そう。


高い建物が、なに一つない。


おまけに、道行く人は、皆着物。


「なんで…。ここ、ほんとにどこ?」


「京都…っぽくない?和風だし」


あたしらの知識じゃ、和風=京都。


「…貴様ら、怪しいな!」


「壬生浪士組か!?」


後ろから、声をかけられる。


今…なんて言った?


「壬生浪士組?」


まさか。


2012年に、壬生浪士組…後の新撰組はいない。


あ、それともあれか。


ドラマかなんかの撮影か。


だから、あたしらは邪魔だと。


「天鬼、ちょっとどこう?俺ら邪魔らしいし」


「…貴様ら、ここで息の根を止めてくれる!」


…は?


「なんか来た…」


武士っぽい人たちは、いっせいにあたしたちに向かってきた。