天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

だったら、尚更姿見せてくれたって…。


「……出てきてください、山崎さん」


「ちぇっ、バレとったか」


天井から、人が出てきた。


山崎さん?


ああ、観察方の。


「初めましてやな。わいは山崎や。よろしゅう」


「…よろしく…。俺、翼鬼…」


「女子なのに、俺なんや?」


「…関係ないだろ…」


男として、生きたかっただけだけど。


隠れてあたしをつけてた人に、言いたくなかった。


おかげで…あのことを…。


思い出すだけでゾワゾワする。


幼いころの、あの恐怖。


…あの頃から…あたしは…。


瞬間、頭をよぎったのは…あの顔。


憎くて、大嫌いで、思い出したくもない、顔。


こっちにこいと、手招きしている。


誰が、行くもんか。


そんな思いは叶わない。


…分かってるんだ。


解ってたんだ。


だけど…。