天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

「甘えていいんだよ?」


「うるさい…。何が分かる…この気持ちの、何が」


「分かんないですよ。だって、俺たちは何もしらないんですよ?」


「知ったら知ったで……嫌うくせに」


そんなこと、ないのに。


「翼鬼、いい加減にしなよ。みんなはいい人だよ」


天鬼君が、止めに入る。


「…いいよね、天鬼は。まだましな扱いだったもんな。だから、裏切られても、そうやって簡単に人を信じれるんだよ…」


「翼鬼っ」


翼鬼ちゃんの目は、虚ろだった。


なにも見えていない。


視界に入っていない。


…そんな、目。


今言っているのは、本音だろう。


ずっと溜め込んでいた、本音。


「翼鬼、帰ろう?」


「いやだ。俺は置いてけ。天鬼は幸せになればいい」


「翼鬼」


「もうほっときなよ!俺なんかといたら、幸せになんてなれないよ…。天鬼は、幸せになってよ…」


…やっぱり、優しいんだね。


自分を犠牲にして、弟の幸せを願う。


そんな子なんだ…。


だったら、なおさら。


「一緒に行こう。誰も嫌わない。もし誰かが嫌ったら、俺がその分愛してあげる」