天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

あたしは自分の翼から羽を一本抜いて、愛に触れる。


「…この者の…声を聞かせて…」


そう言ったとたん、淡い光が、愛を包む。


「やーっと、話せるわね」


「うわ、すごい!本当にしゃべった…」


「初めまして、沖田さん。私は愛です。さっきはね、翼鬼は寝てると近くの物に抱きつくクセがあるのって言ったの」


「へぇ。可愛い…」


…可愛い!?


ありえない…。


「にしても、すごいね、翼鬼ちゃん。こんなこともできるんだぁ」


「…すごく、ない」


このせいで、あたしたちは…。


「実験台にされたんだから…」


「…え?」


あ…。


「ごめん…」


「いや……いいよ。そうだ、朝餉食べにいこう。広間だから」


「ん…」


怖かった…。


聞かれるのが。


でも、沖田さんは何も聞かなかった。


…信じて…いいのかな…。