天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

目を開けたら、そこはさっきまでと違う場所だった。


「天鬼…?」


「いるよ。ほら、手繋いでおこう。はぐれないように」


そのほうが安全だ。


どこに行くか分からないから。


「ここ、どこだろうね」


「未来、だよね」


あたしたちが生まれた時代のはず。


だって…コンクリートの壁があるから。


もしかして、ここは…。


「病院?」


天鬼も同じことを思っていた。


そう、ベッドが置いてあって、白いから病院?


「あ…誰か、いる…」


女の人と男の人。


女の人はベッドで寝ていて、その横で男の人が女の人を優しく見ている。


「…ああ、そういうことか…」


あたしも天鬼も、もう分かった。


これは、あたしたちが生まれる前のこと。


あの人たちは、両親だ。


でもなんて…愛情が溢れた顔をしているのだろう。


あんな顔、初めてみた。