天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

しばらく泣いていたら、突然声がした。


『翼鬼さま、天鬼さま』


「…!!誰!?」


天鬼はあたしを守るように、さらにキツく抱きしめる。


『そんなに警戒しないでください。わたくしです、麗です』


麗…?


麗優鬼…?


「姿、見せて…」


「目の前にいますわ」


さっきよりはっきりと声が聞こえたと思った。


…あたしたちの目の前に現れたのは。


真っ直ぐに長い黒髪。


優しげな眼差し。


「麗…」


前夢で見たときと変わらない、とても美しい女の人。


「朔と優から、話は聞いております。お疲れ様でした」


「え…じゃあ、神?」


あ、そっか。


天鬼は知らないんだ。


「はい、そうです」


麗はニコッと笑って、話を続ける。


「これからあなたがたには、過去へ行っていただきます。あなたがたの知らなくて知っている、過去へ…」


麗がそう告げた瞬間、世界が、反転した…。