天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

♠翼鬼♠

ここは、何処…?


真っ白の世界に、独りきり。


前も後ろも、透き通る白。


「ねぇ、誰かいないの…?総司?」


それでも、声はしない。


さっきまで総司と一緒だったのに。


「誰かいるなら返事して!」


真っ暗じゃないだけいいけど…やっぱり一人は怖い。


寂しいよぉ…。


「…き…」


「…!!誰!?誰かいるの?」


「翼鬼っ」


いきなりあたしの目の前に現れたのは。


「天鬼っ!?」


会いたかった、あたしの弟だった。


天鬼の顔を見た瞬間、なぜか泣けてきた。


「天鬼ぃっ」


抱きついて、その胸で泣きじゃくる。


まるで、幼い子供のように。


「会いたかったよぅっ」


「うん…。僕も、会いたかった」


ギュッと背中に回った腕が、温かい。