天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

「総司!!」


土方さんのその声で、はっとした。


前を見ると…翼鬼を姫抱きにして、歩いてくる沖田さんがいた。


「翼鬼っ!!」


僕は思わず駆け寄った。


「大丈夫、無事だよ」


着物はボロボロだけど、怪我は治ってる。


「よ、よかった…」


翼鬼が無事で、本当によかった…。


「寝てるのか?」


「はい、疲れて眠ってるだけです」


「翼鬼…」


僕が翼鬼の頬に触れた途端。


……え…?


頭の中に、ある映像が流れ込んだ。


幸せそうな顔をして笑っている男と女…。


女の人は身ごもってる…?


何、これ…。


こんなの知らない。


僕は、何も…


いや、知ってる。


知らないけど知ってる。


「天鬼…?どうした」


土方さんの呼ぶ声が、遠く感じる。


遠い昔の記憶…それに浸りながら。


僕の意識は、深いところへ墜ちていった…。