だから。


もう、一思いに…。


「…連れて行かないわ」


優の、その一言に。


あたしは耳を疑った。


「犠牲になるのは、あたしと朔。なんで、あなたたちが犠牲になんかならなきゃいけないのよ」


「だって…歴史を変えたのは、あたしで」


だから、あたしが犠牲にならなきゃいけないって。


普通に考えて、そうだって、思って…。


「あなたは、生きなさい」


優の体が、光を発した。


その光は淡いピンクで。


儚い、桜を連想させた。


「さようなら、翼鬼。またね」


またね…?


そんな、友達が帰り際に別れるような。


軽いあいさつ…。


こんな別れって、あり?


なしに…決まってんじゃん。


「…行かせない。どうしても行くって言うなら…あたしが納得できる理由を言って」


言葉は上から目線でも。


あたしの顔は…ヒドい。


きっとあたしの顔は、涙でグチャグチャ。