♠翼鬼♠

目の前にいるのは、優。


茶色の綺麗な長い髪を風に遊ばせている。


「…愛と名付けられるべきは、あなただった。そして、輝と名付けられるべきはあなたの双子の弟だった」


優が、ゆっくりと語り出す。


「翼鬼という名も、天鬼という名も…二人で一つ。あなたたちは、二人で一つなの」


「そんなこと、分かってるよ。ずっと、解ってた」


だって、お互いの考えてることが分かるもん。


双子ってだけじゃ、ないと思ってた。


鬼ってだけじゃ、ないと思ってた。


何かほかの、もっとすごい力なんだって。


信じてた。


「解ってるなら、いいわ。ずっとお互いを、信じて生きなさい」


ねぇ、優?


どうしてそんな、最後みたいな話し方をするの?


これで最後とか…嫌だよ?


だってあたしは、あなたを…


せっかく許したのに。


恨んでる、憎んでる。


それは全て過去にする。


優…あなたが、神なのならば。


あたしに、あなたを恨む資格なんてない。


憎む資格なんてない。