天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

「…天鬼…?」


輝が、不思議そうに僕を見る。


握りしめた拳が震える。


「…きない…」


振り下ろした拳は、輝の頬を殴ることなく。


「できないよ!!輝を殴るなんて…僕にはできないっ!!!!」


あと数ミリのところで、止まっていた。


「分かってるくせにっ…僕が輝を殴ることなんてできないって!輝はっ、輝は…」


息が上がって、うまくしゃべれない。


けど、これだけは…伝えたい。


「輝は、ズルい。僕のこと、知りすぎてるくせに、こんなことさせるなんて。輝は……僕の友達でしょ!?」


輝の目が、見開かれた。


「友達って思ってる!神だったとしても、輝は輝だ!僕には、友達を殴るなんて…できない」


これが、僕の気持ち。


殴れないよ。


ずっと一緒にいてくれた輝を、殴るなんてできない。


「天鬼、けど、俺は…」


輝は申し訳なさそうに俯く。


「…僕に、友達を傷つけさせる気?もうたくさん傷ついた!だから、もう…これで終わりにしよう?」


涙で視界が揺らぐ。


ねぇ、今僕を泣かせてるのは輝だからね?


分かって、るよね…?