♠翼鬼♠

「…今日は、疲れたでしょ?もう寝ようか」


沖田さんが、そう言って布団を敷きだす。


この人が…あたしの憧れた、あの沖田総司…。


「あ、ごめん。布団一組しかないや…。俺、畳で寝るから、翼鬼ちゃん布団で寝て?」


「…俺が…畳で…」


「女の子に風邪引かれたら困るよ~」


いや、あたしだって、あなたに風邪引かれたら困るよ?


…とは思うけど、言わない。


…言えない…。


「俺、大丈夫だから…。沖田さん…寝て…」


まだ、言葉をはっきりとしゃべれない。


心を許して、裏切られるのが怖い。


信じたい…けど怖い。


…矛盾だらけ…だな。


「じゃあ、一緒に寝ます?」


…一緒に?


「別に、いいけど…」


天鬼と一緒に寝てたしねー。


「…はぁ…」


なんで、ため息?


そっちから言ってきたんじゃんか…。


「じゃ、おいで?」


「…ん…」