天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

「…分かった」


『なっ…山崎さん、ちょっと待ってよ!!』


愛は叫ぶ。


それでも、山崎さんに愛の言葉は分からない。


「ほんなら、みんなにはそう伝えとくわ。…もう会うこともないやろうけど」


それだけ言って、たぶん山崎さんは去って行った。


…最後の一言が、グサッときた。


会うこともない、か…。


そりゃそうだよね。


あたしはもともとこの時代の人間じゃない。


偶然がなければ、みんなと会うことすらなかった。


もう、十分だよ。


十分夢は見た。


もとの時代に戻すなら、戻せばいい。


みんなと会えないのなら、ここにいる意味はない。


ただ…天鬼には、幸せになってほしい。


みんなと一緒に生きて。


お千代さんと結婚でもして。


普通の人間として。


一人の、天鬼という人として。


ちゃーんと、生きてほしい。


「それが、お姉ちゃんの最後の望みかな…」





そう言って微笑んだ翼鬼の笑みは、淡く、儚く、愛の瞳に映った…。