天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

その日の夜。


「翼鬼ちゃん」


「!?誰…?」


いきなり、外からあたしを呼ぶ声がした。


「わいや、山崎や」


山崎さん!?


なんでいるの!?


「なんで…」


「よかった、やっぱりここにおったんやな。今みんなに知らせてくるで、待っててな」


「呼ばないで!!」


呼んだら、ダメだ。


みんなが捕まってしまう。


捕まるはずないくらい強いって、知ってる。


でも…誰かが怪我でもしたら、あたしは耐えられない。


「なんでや?みんな心配しとるんやぞ」


少し怒ったような声で、言われる。


「…俺の、ワガママだよ…。みんなにきてほしくない」


怖いんだ。


目の前で、誰かが怪我するのをただ見てるのが。


「そんなわがまま、誰も許さへん!!甘えるわがままなら、いくらでも許したる!せやけどな…そのわがままは、仲間を信頼してないことやぞ!?」


…信頼、してない…。


「そうだよ…」


みんなを守る。


そのためなら…嘘くらいついてみせよう。


あたしが、嫌われ者になろう。