天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

あたしは…「幸せ」に慣れすぎてしまっていたのだな。


ふっと、自嘲気味に笑う。


幸せなんて、ないのが当たり前だったのに。


あたしは鬼。


独りぼっちがお似合いだ。


そう、初めから独りでいればよかった。


そうすれば、傷つくこともなかった。


誰かを傷つけることもなかった。


なのに…


愛されたいと、思ってしまった。


普通に生きたい。


そう願って、願って。


叶ってしまった。


叶ってはいけなかったのに。


いや、叶ってほしかった。


でも叶ってしまったから…あたしは…傷つくのが、怖くなってしまっている。


「…愛…。俺はやっぱり、間違ってしまったのかな」


愛を知ってしまったから。


弱くなってしまった…?


『…翼鬼、よく聞きなさい。愛してほしいと思うのは、当たり前のことよ』


でもあたしは、愛されるべき子ではなかった。


『愛されてはいけない子なんて、どこにもいないのよ!』


まるで、あたしの心を読んだかのような発言に、あたしは驚くしかなかった。