天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

愛は、不思議そうにあたしを見上げる。


「俺、バケモノにでも何にでもなってやるよ」


『!?翼鬼、あなた何言って…』


「俺が利用されてれば、新撰組は無事でいられる。…大丈夫だよ」


感情さえ、消せば。


何も感じなくなればいい。


喜びなんて、ここにはない。


嬉しさなんて、ここにはない。


あるのは痛み、苦しみ、憎しみ。


それら全部、感じなくなればいい。


「大丈夫、元に戻るだけだ」


独りぼっちだった、あの頃に。


「みんなと、天鬼と出逢う前の俺に戻るだけだ」


ただ、それだけのこと。


別に悲しくなんてない。


寂しくなんてない。


辛くなんてない。


なのに。


どうしてこんなにも、胸が痛いの?


締め付けられるような思いは、何?


どうして、涙が溢れて…止まらないのだろう。