天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

そのためには、あたしがしっかりしなきゃ。


あたしがみんなを守るんだ。


「…目覚めたかぁ?」


誰かが、入ってくる。


あたしは愛に目配せして、隠れるよう促す。


「ふっ、いい面してんじゃねぇか」


ジロジロ見んな、気持ち悪い。


「お前は利用してやるよ、たっくさんな。主を傷つけた罰だ」


「…主とは誰だ」


「お前なんざに、教えるお人じゃねぇ!」


ガッと、鈍い音がした。


またか…。


殴られたって、どうせ治る。


痛いだけだ、死にはしない。


「お前らの、お前らのせいでっ…」


「うっ…がはっ……」


手は縄でつながれているから、反撃ができない。


ただ…痛みをやり過ごすしかできなかった。


しばらく、殴られ続けた。


「はぁっ、はぁっ…。…いいよな、お前は。化けもんだからな」


それだけ言い残して、去っていった。


「…はぁ…。バケモノ、か…」


『翼鬼っ』


愛が、駆け寄ってくる。


「愛…俺、決めたよ」