天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

「てか、その髪で前見えるの?」


「切ったほうがいいんじゃね?」


佐之さんが、翼鬼ちゃんの前髪に触れかかった時。


━━バッ…。


翼鬼ちゃんが、後ろに下がった。


「いや…」


怯えたように、動かなくなってしまった。


「翼鬼ちゃん!?」


「佐之さん、謝りなよ」


「わ、悪かった。ごめんな」


それでも、翼鬼ちゃんは何も言わなかった。


ただ、猫の愛を抱きしめているだけ。


「翼鬼ちゃん、大丈夫だから。もう、しないよ。…部屋、行こうか。おいで」


俺は佐之さんたちに一応断って、翼鬼ちゃんを部屋に入れた。


「……ごめん…」


「なんで謝るの?大丈夫、分かってくれるよ」


三馬鹿なら、分かってくれるはずだから。


「とりあえず、座りな?」


突っ立ったままじゃ、疲れるでしょ。


「言いたかったら、言っていいよ。俺は、翼鬼ちゃんの味方だよ?」


「……まだ…分からない…」


「そりゃ、会ってすぐ信じろって言われても、無理な話だよね。いいよ、言いたくなったらで」


待ってるからさ…。


君が心を開ける日を。