天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

「僕が…僕さえ、わがまま言わなければ…。…翼鬼…」


そう言って、天鬼君は顔を伏せてしまった。


「安心しろ、誰もお前を恨んじゃいねぇよ」


土方さんは、そんな天鬼君の頭を撫でる。


いつものガシガシという感じではなく、優しく。


「…とにかく、翼鬼がどこにいるかだ」


外から声がしたと思ったら…幹部のみんなが入ってきた。


「ああ。翼鬼は絶対に助け出す」


「天鬼は、安心して待ってな」


「みんなぁ…ごめんなさい…」


なんで謝るの…。


ガタガタと震えだした天鬼君を、みんなは切なそうに微笑んで見ていた。


土方さんは、ずっと天鬼君の頭を撫でていた。


…本当に、親子みたい。


「……きっと、翼鬼はお千代さんが嫁ぐはずだった家にいますよね?」


俺は確認のつもりで、聞く。


「そうみて間違いないだろう。今、山崎に探らせている」


もう、手は打ってあったんだ…。


さすがは土方さん。


「ありがとう…」


「お前は、なんにも心配すんな。ただ自分を保っていれば、いい」


自分自身を保つことすら、難しい状況におかされている天鬼君。


俺も…気を抜いたら立ち直れなくなりそうだ。


だからこそ。


待ってなよ、翼鬼。


必ず…行くから。