天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

♪天鬼♪

嫌だっ…!


翼鬼がまたあんな目にあうなんて…。


「嫌だよ!!僕でいい、僕が耐えればすむ話だから!だから…」


最後まで、言うことができなかった。


目の前で、翼鬼は腹に拳を捻りこまれ、気を失ったから。


「や…だ…」


結局、僕はなんにもできないままなの?


大切な人一人も守れず。


いつも僕ばかりが守られて。


「いいか、何かしようとしたらこいつを殺す。…いずれ、お前らには潰れてもらおう」


「嫌っ…」


敵が、それだけ言い残して去ってゆく。


翼鬼を人質にとられた僕たちは、何もできずに突っ立っているしかできなかった。


「嫌だ…翼鬼ぃ!!」


『あたしが翼鬼についているわ』


愛!?


そのまま愛は…走って行ってしまった。


「…天鬼」


「ひじかた…さ…」


振り返って見上げると、頭をグシャグシャっとされた。


「必ず、助け出してみせる」


土方さんのその言葉に、みんなは大きく頷いた。


「翼鬼っ…!ごめん、ごめん……うぁぁぁあああ!!!!」


僕が泣いちゃ、ダメなのに。


頭を撫でてくれる土方さんの手が、優しくて。


大声をあげて…泣いてしまった。