天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

敵が、嘲笑ったように見えた。


「なんでこいつを狙うのかって?…主のためだ!」


主…?


「こいつのせいで主は…」


「おい、しゃべりすぎだぞ」


もう一人が止めてしまったから、よくは分からなかった。


ただ…こいつらは主とやらの命令、もしくは自分たちの判断でこんなことをしている。


「お前のせいだぞ!」


ガッと…鈍い、音がした。


天鬼が…殴られた音。


何度も何度も、殴られる。


「止めろっ!!頼む…」


「そんなんで止めるとでも?」


思わない。


だったら、あたしができることは…


天鬼を助けるために、できることは…


「…俺が、天鬼の代わりになる。だから、天鬼は助けてやってくれ」


「!?翼鬼、お前何言って…」


「お姉ちゃん!?」


あたしは正気だよ。


天鬼を助けたいんだ。


「ほぅ…代わり?どういうことをされるか、分かっているんだろうな?」


「…どうせ利用するんだろ」


そんなこと、散々されてきたから…分かってしまう。