天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

…振り返った、ように見えた。


その人はそのまま走って行ってしまった。


「ちょっ…待ってよ!翼鬼でしょ!?」


俺は慌てて追いかける。


さっき会わないと決めたのに、本人を前にすると…やっぱり会いたくなる。


「翼鬼!止まってって!」


そう言っても、翼鬼は止まってくれない。


俺は仕方なく…翼鬼の手首を掴んだ。


すると驚いたような顔をして振り返って…


その瞳には、涙が浮かんでいた。


「!?」


俺もびっくりしすぎて、思わず手を離してしまった。


それをいいことに…翼鬼はまた何も言わずに走り出す。


やっと会えたのにっ…!


「逃がさないからねっ」


今度は本当に逃がさないように、後ろから抱きすくめる。


「…っ…」


「翼鬼…なんで、逃げるの?」


「だっ…だって……会いたく、なかった…!」


……そっか。


「俺なんて、もう嫌いになったんだ?」


自分で聞いておいて、自分で傷ついてる。


自分から聞いておいて…答えを聞くのが怖い。