「我が名は天鬼。新撰組隊士、残りの全ての傷を…我に移せ」


天鬼がそう唱えた瞬間。


さっきの翼鬼と同じことが起こった。


光に包まれた隊士たちの傷は治ってゆき…。


天鬼の額の痣に、同じ色の切れ目が入った。


身体も…もちろん着物に朱が滲んできている。


「…ひじかた…さ…。…おちよ、ちゃんには……ないしょ、ね…?」


天鬼は最後にそう言って笑って、俺の腕に倒れた。


「ああ…。お前らの約束は、守る」


翼鬼にも、頼まれ事をされたからな。


「歳…」


いつの間にか、近藤さんが後ろにいた。


「…帰ろうぜ。俺たちの場所に」


一刻も早く、休ませてやりたい。


怪我を治してもらった瀕死だった隊士は、自分たちに運ばせてほしいと言った。


だが、俺は…


「…俺たちに、運ばせてくれ」


と、断った。


何故かは分からねえ。


ただ…ふと、思っちまった。


らしくねぇし、誰にも言えねえけど。


俺も…こいつらが俺の子だったら、よかったのかもなって…。