天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

翼鬼は、その無垢な笑顔を浮かべたまま。


「…俺の体、お願いね?多分…血まみれだろうけどさ」


と言った。


それで確信してしまった。


だからこいつは…あんなことを…。


「…我が名は翼鬼。新撰組隊士全員の傷を半分、我に移せ」


翼鬼がそう告げた瞬間。


傷を負った隊士の半分が、その体に淡い光をまとった。


どんどん、傷が癒えていく。


「すげぇ…。なんだ、これ!?」


不思議がって驚く者もいた。


それでも、俺は…翼鬼の方が心配だった。


隊士たちをまとう光が消えたとき。


翼鬼の体を同じ光が包む。


そして…


翼鬼の左頬に紅い十字架が入り。


右目には…長く傷が入った。


恐らく、右目は潰れている。


何も見えはしない。


その証拠に、翼鬼は右目を閉じている。


「…さすがに…多すぎるね…?」


翼鬼は微笑みながら…その体は大きく傾いて…


静かに、倒れていった…。