天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

その音と共に、紅い血が飛ぶ。


それは、近くにいた翼鬼の顔にもかかった。


「平助君っ!!」


「っつ……いってぇ…」


…額を斬られた平助君は、倒れ込んでいた。


おびただしい量の血が出る。


「目がっ……目が赤い…!」


血が目に入っちゃってるんだ…。


「ちょっと目、瞑ってて」


そう言って翼鬼は、布を出す。


その布で平助君の額と目を拭う。


「…っ……翼鬼…?」


「そうだよ。…天鬼、お願い」


「…うん」


僕は翼を出して、羽を抜く。


それを平助君の額に当てて…


「この者の傷を、癒せ」


パァァッと、淡い光が平助君を包む。


…さすがに、全部は癒せないか…。


僕だけじゃ無理だ。


「今度は、あたしがやる」


…同じ人が持つ羽で、同じ人を癒やすことはできない。


だから、どちらか一人の力で出来なかったらもう一人が同じことをやる。


…翼鬼は僕と同じことをやった。


「え…?血が…止まった…」