天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

まあ、とにかく。


翼鬼には絶対に危険な目にあわせない。


今度は僕が翼鬼を守るんだ。


今度こそ…絶対に。


「天鬼、怖くない?」


平助君が聞いてくる。


「ん、大丈夫かな」


「無理はすんなよ」


「ありがとう」


そう言えば平助君って…額に重傷おうよね?


魁(サキガケ)先生って言われてたくらい、ケンカとかには真っ先に突っ込んでいったらしいし。


だから池田屋でも先陣きっていっちゃって、怪我するんだよね。


…今更だけど、怖くないのかな。


あんまり年は変わらないのに。


…僕には、覚悟がない。


人を斬る覚悟も、命を賭ける覚悟も。


それなのに、平助君は。


全部覚悟を決めてやってる。


やろうとしてる。


翼鬼だって、他のみんなだってそうだ。


僕だけが…中途半端。


曖昧で、どうすればいいか解らない。


僕は………弱い。