♪天鬼♪

「よし、行くぞ!」


土方さんの一声によって、新撰組隊士が一斉に池田屋目指して歩く。


沖田さんは、もちろん寝てる。


まだ熱は少しあるみたい。


「翼鬼~、心配?」


僕はからかうつもりで、隣にいる翼鬼に話しかけた。


「そりゃあ…心配だけど…」


…翼鬼、ひどい。


からかおうと思ったのに、そんな本気で心配してる顔されたら…からかえないじゃん。


…さすがの僕でも、こんなときにまでふざける気はない。


でも、それでも何かふざけてたいと思うのは…怖いからかな?


また翼鬼が無茶をして、重傷を負ってしまったらどうしよう、とか。


みんなを守りきれなかったらどうしよう、とか。


考え出したらキリがないけど。


僕は、僕にできることをやる。


そのためになら、人だって…斬ってみせる。


そして、みんなを助ける。


歴史によれば、ここで亡くなる隊士もいるらしい。


けど、そんなことはさせない。


怪我を治して、助ける。


それでも無理なら…移してでも。


なんとしても、助けたい。


…翼鬼の無茶が、移っちゃったかな?