天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

土方さんの瞳が、厳しくなったように感じた。


「…拷問なんてしなくていい…俺が、これから起こること…全部話す」


「そこまでして、敵を助けたいか?」


…分かってる。


土方さんにとって…新撰組にとって、その人は敵なんだよね。


でも、敵、だとしても。


「…そうだよ。人が苦しむとこなんて、見たくない」


あたしがされてきたことを、他の人にしちゃいけないんだ。


もう誰も、あんな思いしちゃいけないんだ。


「お願い。俺が全部話す。だからっ……拷問なんて、やめて……」


涙が、溢れた。


足はガクガクと震え、立っていられない。


一刻もはやく、ここから出たい。


それでも…あたしは土方さんから視線を外さなかった。


「…土方さん。翼鬼がどんな思いでここにいるか…分かってますよね?」


「………分かってるさ。……翼鬼」


土方さんが、あたしに近づく。


「…お前が、教えてくれんだな」


びっくりした。


ダメ元のお願いだったのに。


「…うん」


「だったら、もうやらねぇよ。…だからお前はここを出ろ」


そう言って土方さんは、あたしの頭をポンポンと撫でた。


「総司…頼んだぞ」


「はい。行こう、翼鬼」



…分かって、くれた。


あたしの思い、分かって…くれたんだ。


それが嬉しくて…また泣いた。