天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

…6月5日、早朝。


新撰組は、一人の志士を捕らえた。


世にいう…池田屋事件の幕開けだ。


「ねぇ、捕らえた人どうするの?」


天鬼が永倉さんに聞いた。


「ああ、土方さんが拷問してんだろ。情報を吐かせるんだよ」


…拷問…。


その言葉で思い浮かぶのは…幼い頃のこと。


鎖に繋がれて…暗い檻の中で独りぼっちで。


いつもいつも…苦しめられた。


「……っ…」


頭が、割れるように痛い。


思わずその場にうずくまってしまった。


「翼鬼?どうした?」


平助君があたしの顔を覗き込む。


「翼鬼?」


「…平気…なんでもないよ。ちょっと貧血気味?」


無理やり笑ってみせた。


「なんで疑問系なんだよ…」


平助君は呆れたように笑って、何も聞かないでくれた。


…平助君が鈍感でよかった…。


「あ、俺総司にご飯持ってくな」


「おお、よろしく~」


あたしは頭痛をやり過ごして、部屋に向かった。