♠翼鬼♠

…もうすぐ池田屋事件が起こる時期になった。


総司はもちろん戦える状態じゃない。


未だ、熱が続いている。


そのおかげで、新しく発見したことがあった。


「翼鬼ぃ。構ってくださいよぅ」


総司は、熱が出ると甘えん坊になるということ。


最初はびっくりしたけど…今じゃ、こんな総司もありかなってなってる。


たまには可愛いとこも見たいし。


「…翼鬼?忙しいんですか?」


「別に忙しくはないけど…。てか、寝てなきゃダメじゃん!!」


あたしもあたしで、なんで相手しようとしてんだ!


総司は病人だっつーの!


「えぇ!?いいじゃないですかぁ、遊んでくださいよぉ」


「ダーメ!ほら、横になって……」


…気がついたら、何故かあたしも布団の中にいた。


「…翼鬼…あったかい…」


「そっ…総司!離れてよ…!」


それでも総司は、離したくないとでも言うように、あたしを抱きしめる。


熱でてるくせに、暑くないのか!?


「翼鬼…ありがとう」


あ……。


━あの時、言われた言葉。


━━「…なおしてくれて……ありがとう…」━━


力の入らない腕で、それでもあたしを抱きしめようとしてくれた総司。


…本当にお礼を言わなきゃなんないのは、あたしのほうだよ。


「…耐えてくれて、ありがとう…」