天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

屯所の庭に出た。


幹部はみんないる。


他の隊士には悪いけど…ここにはいない。


総司が苦しむ姿を見せたくないから。


「…じゃあ、いくよ」


「お願いします」


あたしと天鬼は手を繋いで、その中に総司に入ってもらった。


「せまいけど、我慢してね」


「大丈夫です」


…ちょっと、我慢してね。


あたしは天鬼と息をあわせて、言葉を紡ぐ。


「「…この者の病を癒やす。力を…解放せよ」」


そう言った瞬間、翼を出す。


何もしなくても…羽が舞う。


その羽が総司の周りを舞って……総司の腕と足を、拘束した。


「何してんだよ!?」


平助君が、焦った声を出す。


「…これからは痛みに苦しむから…。手足が動くと、危険なんだ」


…おそらく、痛みから自分を傷つける。


そしたら余計に痛みに悶えるだけ。


「…もう、いい?…土方さん」


「あ?」


「ちょっとここ、代わって」


「なんでだよ」


まあ、普通そうなるよね。


顔がいつもよりも険しい。