天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

鋭い目つきで…近藤さんを睨んだ。


睨んだ…のだと思う。


髪で目が隠れていて、よく分からないけど。


「お前…近藤さんを睨むたぁいい度胸してんじゃねぇか」


きっと、土方さんは剣を抜く…と、思った。


けど、土方さんが動く前に。


「ごめんなさい…。許してやってください…」


天鬼君が、謝った。


「…さっき、言ったじゃないですか」


その続きは、言わなかった。


でも、分かった。


この子は…他人を信用できないんだった。


「……まあいい。お前、名前は?」


「…………き…」


「は?なんて?」


もの凄い小さな声だったから、聞こえなかった。


「……つばき…」


「つばき?どういう字を書くのだね?」


「…翼に、鬼」


この子も…鬼って、つくんだ…。


「…翼鬼。この人たちは大丈夫そうだよ」


「……そんなこと知らない。そう言って、どれだけ裏切られてきたんだよ…。俺は…」


表情は、分からない。


けど…苦しそうな、声だった。