変な咳が出る。


それは最近になってからだと言う。


念のため…土方さんにも聞いてみた。


「…総司の咳?…ああ、そういやしてたな。嫌な咳」


土方さんはいつものように眉間にしわを寄せて、怖い顔をしながら言った。


「いつ頃から?」


「…いつだっけか…。覚えてねぇけど…それがどうかしたか?」


「……労咳だ」


もう総司が労咳で亡くなることは知ってるから、そう驚きはしなかった。


その代わり、やっぱりと言う顔をした。


「んで、俺たちで治すけど。いつがいい?」


「…なんで俺に聞く…」


少々呆れたようにため息をつかれた。


え…だって一応副長じゃん。


総司だって隊長だし。


隊長抜けたら困る仕事とか、あるじゃん?


「仕事とか、たまるなって思って」


「総司は見回り以外真面目にやってねぇ」


あ、そうだったね。


「でも、稽古は?」


さすがにしてるでしょ。


隊士育てなきゃだめじゃない?


「あ~?どうだかなぁ。稽古してもしてなくても、強ぇのに変わりはねぇからな」


…相当信頼してるんだな、総司の腕を。