「総司~」


「なんですか?」


あたしは部屋にいた総司のところへ行く。


「最近、咳出る?」


回りくどく言っても仕方ないから、単刀直入に言った。


「……出ませんけど…」


そう言う総司の顔、一瞬だけしかめっ面になってたよ?


「嘘はいいから。どうせ治すし、早いほうが都合がいい」


「…少し、です。でも単なる風邪ですから!」


総司は明るく言うけど…あたしは思わず怒鳴ってしまった。


「風邪じゃないの!何のために俺がいると思ってんだよ!今必要なのはそんな嘘じゃない!」


分かってる。


総司が、心配させまいとしてること。


でも、あたしが欲しいのはそんな優しい嘘じゃない。


「…治すためには、真実が必要なんだよ。……もし、本当に治したいと思ってないのなら」


「思ってないなら?」


「………完璧に、治るという保証は……ない」


その人自身の決断が必要なの。


あたしたちがどれだけ治したいと思っても、本人が思ってないなら。


きっと、どこかで歪みが生じる。


「…治して、ほしいです。だって、翼鬼と一緒に生きたいから」


総司はあたしを見て、にっこりと笑った。


…あたしだって、そうしたいよ。


……でも、あたしにできるだろうか?


そんな簡単なことでさえ。


出来なかったのが…あたしたちなんだから。


それこそ、保証なんてない。