「…ちょっと、翼鬼借りますね」


「あー、どうぞ。…翼鬼、お疲れ様」


天鬼が別れ際に、そう言って笑った。


あたしは何も言わずに微笑んだ。


…天鬼を不安になんてさせれないから。


この時代の人にも…気味悪がられる、なんて。


「…で、沖田さん。なんで腕引っ張ってんの」


そう、あたしは今、沖田さんに腕を引っ張られて歩いている。


…スピード速いんだけど…。


「……なんで俺は沖田さんなんですか」


「またその質問?」


前もされたよね?


「平助君は平助君なのに…」


「…なんでいじけてんの?別にいいじゃん、平助君でも、沖田さんでも」


なんか問題あり?


名前呼びにこだわる必要って…あんのかな?


「だって…。総司って呼んでくださいよ」


「え…恥ずかしいよ…//」


好きな人を呼び捨てって…。


絶対、私達親密な関係ですって言ってるようなもんじゃん!


「呼んで、くれないんですか…?恋仲なのに…」


しゅんっとしたようにうなだれる、沖田さん。


だーかーらー!!


その顔はダメでしょ!


女か、あんたは!