天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

…こういうのを、デジャヴと言うのだろうか。


それとも、フラッシュバック?


さっきのことが…頭をよぎる。


違う、沖田さんじゃない。


だから、嫌だった。


「ねぇ、翼鬼…。頼ってよ…」


そう言って沖田さんは…あたしの首筋に顔をうずめた。


その言葉の響きは、懇願に似ていた。


…でも、今のあたしにそんなことを考えてる余裕はなかった。


さっきと…一緒の行動。


じゃあ、次にくる…言葉は…


「…翼鬼…。なんで、額が赤いの?こすった?」


沖田さんが、驚いた顔であたしを見る。


「みない、で…」


顔を覆おうとしても、手を抑えられてるから動かせない。


…顔を、覆いたいんじゃない。


額を…痣を、隠したい。


「…翼鬼、何があったの」


「何もないから…」


「本当に、嘘が下手だね。そんな顔して、何もないなんて…あるわけないでしょ」


…沖田さんには、かなわない。


全部見通してしまう。


「……さっきの、客にね…」


あたしは、全てを話し始めた。