なのに、あんな言葉…。


何があったんだ、あの人に。


関係ないけど。


「…指名が入った」


「いよいよ、か」


「ええか、あくまで自然にやで。頃合いを見計らって、呼びに行く」


「…分かった」


失敗は、許されない。


みんなのためにも、やってみせる。


「…お待たせいたしました、雅でございます」


「おお、待っていたぞ!」


うわ、酒臭い!


けっこう飲んでるな、この人。


「ご指名いただき、ありがとうございます。雅です」


「早く酌をしろ!」


「申し訳ありません。…どうぞ」


なんなんだ、この男は。


隣に行くと、いきなり肩を抱かれた。


思わずビクッとなりそうになるのを、必死でこらえた。


触れんな、変態!


「…お客はんは、武士なんどすか?」


頑張って作った笑顔で、そう尋ねる。


「そうだ!俺はこの日本を変えてやる!手始めに…この京からだ!」


「へぇ、すごいんどすなぁ。それで、この京で何をやるんどす?」


きた。


これが聞き出せれば…任務は終了だ。