♢総司♢

「で、天鬼。お前らなんで俺らのこと知ってんだ」


土方さんが、また天鬼君に聞く。


天鬼君は、少し迷った顔をした。


…言いにくいのかな…。


そう思って、俺は腕の中の子を見る。


…軽すぎる、この子。


天鬼君の、双子の兄らしい。


…男には見えないくらい、細い。


前髪が目の下くらいまであって、後ろは長い。


俺たちと同じように、頭の高い位置で結っている。


なのに、天鬼君は髪が短い。


「…土方さん。もう屯所に着きますよ。話は、近藤さんも一緒に聞けばいいじゃないですか」


「…そうだな」


「近藤さんって…近藤勇?」


俺と土方さんは、目を見開く。


「なんで近藤さんの名前知ってんだ」


正直…怪しい。


本人は否定してるけど、本当に長州の間者かもしれない。


自分のこと、鬼だって言ってたし。


…鬼っていうのは、土方さんみたいな人のことを言うんですよ。