天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~

「……天鬼、痛いんだけど」


まだ抱きついている天鬼君に向かって、翼鬼が言う。


さっきよりも強く抱きついてるみたい…。


「あのさ、天鬼。一応俺女だからそんなに力強いと…くるし……」


途中で言葉が途切れてしまった。


「……天鬼?」


「ごめん…翼鬼が、一番怖かったはずなのにっ……」


天鬼君は、泣いていた。


翼鬼は天鬼君の震えに気づいて、声をかけたのだろう。


「…こわ、かった…。翼鬼を…失ったら、て…思ったら…」


天鬼君は俺たちでも見て取れるほど、震えていた。


それほど、翼鬼を…翼鬼のことを大切に想ってるんだ…。


「翼鬼…もう、無理しないでっ…!……僕だって、できるから…」


「…それは、人を斬ること?そんなこと、してほしくないから…俺がやったんだけど?」


…そう言う翼鬼も、微かに震えている。


「……お前らには、もうやらせねぇよ」


「土方さん…?」


土方さんが二人の側に腰を下ろした。


「ったく、心配かけやがって…」


「っわ!?何すんだよ!」


いきなり翼鬼の頭をガシガシと撫でた。


…天鬼君にも。


「いいか。お前らにもう辛い思いはさせたくねぇ。だから、ちゃんと頼れ!んで甘えろ。…副長命令だ」


土方さん…。


素直じゃない人だけど、きっと本気で心配してるってことくらい、二人に伝わってる。