なんで…剣の名前なんて、言うんだろう。


それも、そういう人が存在しているみたいに。


「翼鬼、お前何があったんだ」


土方さんがそう尋ねても、何も答えない。


ただ、震えて泣くだけ。


「…あなたは誰?なんでここにいるの?あなたは…神様なんじゃないの…?」


神様…?


「ねぇ翼鬼、誰としゃべってるの?」


「どうして?なんであたしの…側にいるの?」


…会話が成立しない。


どうしたもんか…。


「答えてよ…」


答えてほしいのはこっちもなんだけどな…。


きっと翼鬼の意識はここにはない。


どこか遠いところにでも飛んでいってしまっているかのように…瞳が虚ろだ。


「つば…」


翼鬼と、呼ぼうとしたのに。


何かに制されたように、声が出ない。


それどころか…感覚が失われていく━。


自分がどこにいるのか分からなくなる…。


「……天鬼君?」


誰かのその声を最後に。


僕は何故か…意識を失った…。